私好みの新刊 20217

『ながれぼし』 武田康男/監修・写真 小杉みのり/構成・文 岩崎書店 

  時々、夜空にスート流れて消えていく〈ながれぼし〉。時には、何月ごろ
「〇〇星の方向によく出るよ」と知らされる〈ながれぼし〉。暗い夜空に繰
り広げられる不思議な現象である。

一応、理屈は知っていても何度見ても不思議な光景に見える。この本では、
その〈ながれぼし〉に絞って、美しい夜空を美しい写真で紹介している。

 初めに出てくるのは、まずは日の沈むころ夕暮れのとある湾の写真である。
夕日が美しい。

「そらが ゆっくりと まぶたを とじるみたい。」と表現されている。
そうか、夕日になると太陽は、ゆっくりと眠りの準備しているのか。いよいよ、
一番星が見えてくる。ふっと反対側の夜空を見ると・・紅色に染まった月が顔
をのぞかせている。街の明かりがひとすじとなって海面を照らしている。その
様子がとてもシャープに映っている。ここまで水面の光がはっきりと見えるの
は多重露光のたまものか。やがて月はゆっくりと登っていく。と、少し輝きだ
した夜空に一筋の小さな光が見える。〈ながれぼし〉だ。またまた、光がスー
と流れている。こんどは、少し長い〈ながれぼし〉ゆっくりと山陰に消えて
いく。
ここで、ちょっと
説明が入る。ながれぼしは ・・・彗星や 小惑星の 
ちいさな かけら。」と入る。

場面は満点の星空に変わる。こんどは、ぐんと明るい彗星の写真。この写真に
ある大彗星は、
1997年に出たヘールボップ彗星と最後の解説にある。見事に映っ
ている。つづいて、ぐんと明るい〈ながれぼし〉の写真が続く。「彗星の のこ
していった ちりが ちきゅうに おちてくると ながれぼしに なる。」と説
明が入る。たくさんの〈ながれぼし〉の写真が紹介される。最後には、地面に流
れ落ちていく長い〈ながれぼし〉の写真もある。こんなふうに地上に流れ落ちる
〈ながれぼし〉の写真は珍しい。次に
1mmほどの石の写真。ほんとうはもっと小
さいらしい。燃え尽きた〈ながれぼし〉の丸い粒だ。〈ながれぼし〉は「とけて
 まんまるになった」と説明にある。
最後に、流れ星について簡単な解説と各写真の説明がある。
202012月 1,300

『ウイルス大解剖』川口寧/監修(子供の科学サイエンスブックスNEXT) 誠文堂新光社 

 昨年は、ウイルスに関する本が多く出版された。幼児から読める本から大人向け
まで20冊はくだらないだろう。コロナウィルス感染拡大の今日としては急ごしらえ
の本もある。それらの本の中から、比較的ウィルス全体が見通せる本で、小学校高
学年ぐらいから読める本を一冊選んでみた。それがこの本である。帯に「ウィルス
の電子顕微鏡写真やイラストを使って・・」
と語られているように、各ウィルスの電子顕微鏡写真が添えられている。目に見え
ない小さなウィルスも形はさまざまである。

 さて本書では、巻頭特集としてまず「新型コロナウィルスの正体」を取り上げてい
る。最初にコロナウィルスの電子顕微鏡写真もある。まわりに王冠のような突起物が
ウィルスを取り巻いている。他のウィルスとは形が全然異なる。さて、「ウイルスっ
てなに?」の問いがある。何だろう。ここでは「〈生きもの〉というより〈超ミクロ
の機械〉」と表現されている。ウィルスは一種の〈機械〉みたいな存在なのだ。それが、
人の細胞に悪さをする。発症から1週間前後で20%の人に肺炎症状が出るとか。さらに
10日前後で2
3%の人が致命的な重症化におちいるという。なのに、今はその医療体制
が追い付かないというから、慎重にならざるを得ない。次に、新型コロナウィルスのイ
ラストがある。これは他の本にもよく出ている図だ。先に書いたように、スパイクと名
付けられている突起物があるのが特徴である。次に過去に起きたウィルスによる感染症
の歴史が書かれている。過去にはスペイン風邪やアジアかぜ、香港かぜなどがあったこ
とが分かる。さてこれからが本題、「ウィルスっていったいなにもの?」から始まる。
イラスト入りでややくわしく書かれている。ワクチンの効用も書かれている。第2章は
「これがウィルスの姿だ!」で、いままでに起きた各ウィルスのあらましが書かれている。
植物や昆虫にもウィルスは存在する。最後に免疫の話、抗体の話もある。悪さばかりす
るウィルスかと思いきや、ウィルスは動物の進化にも役立っているらしい。「哺乳類の
胎盤はウィルスがつくった!」とも書かれているが本当だろうか。 
 
                          
2020 12 2,500 円 

                    新刊紹介7月